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相続とは

相続とは

相続とは

相続というのは、人が亡くなったときに、その人(被相続人いいます)の財産的な地位を、その人の子や妻など一定の身分関係にある人(相続人といいます)が受け継ぐということです。つまり、相続とは、被相続人に属していた権利義務が、包括して相続人に承継されることをいいます。被相続人から相続人に受け継がれる財産のことを、「相続財産」とか、「遺産」と呼びます。

(1)相続開始の場所

相続は、被相続人の住所において開始します。被相続人の住所とは、被相続人が死亡した時の住所である場所をいいます。したがって、例えば、入院先の病院で死亡した場合であっても、その人の住所が相続開始地となります。

(2)遺言相続と法定相続

相続に関しては民法で基本原則が定められています。
一般に、被相続人の財産を相続によって受け継ぐ方法に2つがあります。
第1は、被相続人が遺言をしていれば、これに従って遺産を受け継ぐ方法です。これを遺言相続ともいい、法定相続に優先します。
第2に、遺言がされていない場合には、民法が定めたルールに従って遺産を受け継ぐことになります。これが法定相続といわれるものです。
つまり、まず被相続人の意思を尊重して遺言の内容を優先的に適用し、遺言がない場合に法定相続によることにしています。
最近では資産家ばかりではなく、サラリーマンの方でも遺言書を書く人が増えてきているようです。遺言書を書くことによって自由に自分の資産を分配できますし、高齢化に伴う介護などに関した遺族の遺産相続のトラブルを減らし、相続の手続きも円滑に進むからです。

(3)相続開始

相続は、被相続人の死亡した瞬間から開始されます。この死亡したとは自然死・事故死のほかに、失踪宣告によって死亡したものとみなされる場合も含まれます。

①自然死・事故死等
病死の場合には医師の作成する死亡診断書、事故死の場合には死体検案書に基づき、死亡日時が戸籍簿に記載されます。この記載された日時が、現実に死亡した日時とするのが原則です。しかし、地震・火災などの事変に合い死亡した場合には、取調べに当たった官公署が死亡を認定できることになっています
この場合は認定死亡として戸籍簿に記載された日時を死亡時期とします。

②失踪宣告
死亡以外に相続が開始されるのは、失踪宣告の出された場合だけです。行方不明者の生死が7年以上明らかでないとき(普通失踪)、戦争・船の沈没により災難後1年以上生死不明の場合(特別失踪)に、利害関係人が家庭裁判所に申し立てて失踪宣告を出してもらい宣告を受けたものは、普通失踪は7年の期間満了時に特別失踪は危難終了時に死亡されたものとみなされます。
特別失踪は、判例により「それに遭遇すると人が死亡する蓋然性の高い事変を指し、火災・地震・暴風・山崩れ・雪崩・洪水等の一般的事変のほか、断崖からの転落、クマ等野獣による襲撃等個人的な遭難が含まれる」としています。

(4)相続人と相続分

ある人が死亡した場合に、誰が相続人になるかは民法で定められています。これを法定相続人といいます。被相続人は遺言で相続分の指定はできますが、法定相続人以外の者を相続人に指定することは認められません。もっとも、贈与(生前贈与、遺贈)という方法であれば、法定相続人以外の者に遺産を与えることはできます。
法定相続人には、被相続人と血縁関係があることによって相続権を与えられている血族相続人と、被相続人の配偶者であることによって相続権が与えられている配偶者相続権二つの系列があります。

①配偶者相続人
被相続人の配偶者は、常に相続人となります。しかし、血族の相続人が一人もいないときは単独で相続しますが、血族がいれば、血族相続人と共同して相続することになります。ここにいう配偶者とは法律上婚姻届を出している正式な場合に限られます。内縁の配偶者は含まれません。

②血族相続人
これはすべての血族が相続人になるということではなく、次の順位で順繰りに相続人になります。ただし、配偶者相続人がいるときは配偶者とともに相続します。

第一順位
被相続人の子またはその代襲者。子は、被相続人である親と法律上の親子関係があれば、実子・養子、嫡出子・非嫡出子の区別なく相続人となります。子が第一順位であるという意味は、子が一人でもいればその者だけが血族として相続人となり親や兄弟姉妹はまったく相続人にならないということです。また、子がすでに死んでいたとすると、その子(被相続人の孫)が親に代わって相続します。これを代襲相続といいます。

第二順位
被相続人の直系尊属(親、祖父母など)血族の中に子(またはその代襲者)が一人もいないときは、直系尊属が相続人となります。まず親等のいちばん近い父母が相続人になり、父母がいないときは祖父母、次に曾祖父母というようにさかのぼっていきます。なお、直系尊属には、養親だけでなく、実親も含まれることに注意が必要です。
※第一順位の者がいてもそのすべてが、相続欠格、相続人の廃除により相続権を失った場合、相続放棄した場合、にも相続人となります。

第三順位
被相続人の兄弟姉妹またはその代襲者子、孫、父母、祖父母がいなければ、兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹の子についても代襲相続が認められています。ただし、子の代襲相続とちがって、兄弟姉妹の子(つまり、被相続人の甥・姪)までです。
※第二順位の者がいてもそのすべてが、相続欠格、相続人の廃除により相続権を失った場合、相続放棄した場合、にも相続人となります。



③法定相続分と指定相続分
1)法定相続分
法定相続分は被相続人が死亡し、相続が開始した場合に、遺言によって相続分が指定されていない場合に、適用されるものです。
・子と配偶者がいる場合子が2分の1、配偶者が2分の1。
・配偶者が死亡している場合は子が全部相続します。
・子がなく配偶者と父母がいる場合配偶者が3分の2、父母が3分の1。
・配偶者が死亡している場合は父母が全部相続します。
・子もなく父母もいない場合配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1。
・配偶者が死亡している場合は、兄弟姉妹が全部相続します。
※子の中に嫡出子と非嫡出子がいる場合、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の半分です。また、兄弟姉妹が数人いて兄弟の一人が死亡した場合に、その者と父または母の一方のみが同じという兄弟(半血兄弟という)の法定相続分は、父母を同じくする兄弟(全血兄弟という)の半分となります。



2)指定相続分
被相続人は、遺留分の規定に反しないかぎり、遺言により、法定相続分と異なる共同相続人の相続分を指定することができます。被相続人が遺言で相続分を指定したときは、法定相続分に優先します。また、自分で指定せずに第三者に相続分の指定を委託することもできます。
※遺留分を侵害している遺言も無効というわけではありません。遺留分に反する相続分の指定といえども、当然に無効というわけではなく、遺留分を侵害された者からの請求により減殺されるにすぎません。
※遺留分とは
 被相続人と一定の血縁関係にある相続人に、法律により認められた被相続人の財産からの最低限度の取り分

3)具体的相続分
相続分には上記の法定相続分と指定相続分のほかに、「具体的相続分」といわれるものがあります。これは、相続人の中に被相続人から生前贈与を受けたり遺贈を受けた者がいるとき(特別受益という)、また、相続人の中に被相続人の財産の増加もしくは維持につき特別の寄与をした者がいるとき(寄与分という)に、法定相続分(又は指定相続分)を加算減算して算定された相続分のことです。遺産分割のときの指標となる分割割合であることから、具体的相続分を相続分と区別して、「遺産分割分」とも呼ばれます
なお「相続分という語は、次の三つの異なる意味で使われます。
・共同相続人の相続すべき割合(遺産の総額に対する分数的割合)
・この割合(相続分率)によって計算した財産額
・遺産分割前の包括的持分あるいは共同相続人の地位

(5)相続人となる人、ならない人

①胎児
胎児は相続については既に生れたものとみなされ、相続権があります。ただし、死産の場合は相続人になりません。「既に生れたものとみなす」とは、胎児が生きて生まれたときに、相続開始時にさかのぼって相続したものと認めるという意味です。したがって、胎児のまま相続人となるわけではありません。たとえば胎児の母が胎児の法定代理人として遺産分割協議に参加することはできません。

②嫡出子・非嫡出子
婚姻の届出をした夫婦の間の子を嫡出子、婚姻関係のない男女の間の子を非嫡出子といいます。母親と非嫡出子は分娩の事実によって親子関係は証明されますが、父親との親子関係は父親が認知して初めて生じます。したがって認知された非嫡出子だけが相続人となります。

③実子・養子
養子(普通養子)は、親子の血縁のない者どうしが、養子縁組の届出を出すことによって、本来の血縁のある親子と同じ関係になります。相続においても養子は実子と全く同じに扱われます。また、養子に行ったからといって実父母との親子関係がなくなるわけではありません。つまり、養子は実父母と養父母の両方から相続できることになります。

④特別養子
特別養子とは、実父母およびその血族との親族関係を終了させて、完全に養方の嫡出子として扱うものです。特別養子縁組によって実方の親族との間では、相互に扶養義務や相続権を有しないことになります。

⑤内縁の妻または夫
相続人となる配偶者は、婚姻届をだしている正式な配偶者で、内縁の配偶者は含まれません。社会的に夫婦同然の生活を送っていたとしても、婚姻届を出していなければ、法律上の夫婦とはみなされませんので、相続人になれません。ただし、相続人が誰もいない場合には被相続人の財産を取得する場合があります。

⑥再婚した配偶者の連れ子
被相続人と再婚した配偶者は、戸籍上の配偶者ですから当然相続人となります。しかし、その連れ子は、被相続人と養子縁組をしていないかぎり、相続人にはなれません。

⑦離婚した元配偶者
離婚した元配偶者は、上記とは逆に当然相続権はありません。しかし、子どもは親が離婚したからといって親子関係がなくなるわけではありませんので、嫡出子として相続することになります。

⑧事実上、離婚状態の配偶者
配偶者に相続権があるかどうかは、原則として相続開始時(被相続人が死亡したとき)の戸籍によって決ります。たとえ何十年も別居し音信不通であったとしても、正式に離婚するまでは相続権があります。

⑨相続欠格とは(民法891条)
親の財産めあてに親を殺してしまった場合のように、相続に関して不正な利益を得ようとして不正な行為をし、またはしようとした場合は、法律上当然に相続人の資格を失います。

⑩相続人の廃除とは(民法892条)
被相続人に対し虐待・重大な侮辱、その他の著しい非行を行ったときに、被相続人は、家庭裁判所に申し立てて相続人の資格を失なわせることができます。
また、被相続人は遺言で廃除の意思を表示することもできます。

⑪代襲相続とは
子または兄弟が相続する場合、代襲相続という制度があります。代襲相続というのは、本来血族として相続人になるはずだった人が、相続開始以前(同時死亡を含む)に死亡していたときなどに、その子や孫が代わって相続人になるという制度です。この場合の代襲される者を「被代襲者」、代襲する者を「代襲者」といいます。たとえば、被相続人に子が三人いて、それぞれ相続人になるはずであったのに一人の子がすでに死んでいたというような場合に、その死んでいる子の子、つまり被相続人からすると孫が、死んだ子に代わって相続人となるのです。代襲は、このように子がすでに亡くなっている場合のほか、相続人であった人が相続欠格や相続人の廃除によって相続権を失った場合にも成り立ちます。しかし、相続人が相続放棄によって相続権を失った場合は、代襲相続することはできません。

1)代襲者の要件
代襲相続できる者は被相続人の直系卑属(兄弟姉妹の場合は傍系卑属)に限られます。
たとえば、養子の養子縁組前の子(養子の連れ子)は、被相続人の直系卑属ではありませんから、養子縁組しないかぎり代襲相続することはできません。また、配偶者にも代襲相続権が認められていませんので、子がいない妻の場合、夫が義父より先に死亡していると、義父の遺産は全く相続できないことになります。代襲相続人の相続分代襲者(孫)が受ける相続分は、本来の相続人(子)が受けるべきであった相続分となります。たとえば亡父を代襲して祖父の財産を相続する孫の相続分は、亡父が生きていたとすれば受けていたはずの相続分です。代襲者が数人いる場合は、その数人が均等に分けます。

2)同時死亡の推定
相続人が相続するためには、被相続人が死亡した時点において、相続人は生存していなければなりません。たとえば、父親と子が乗っていた飛行機が墜落して2人とも死亡した場合、どちらが先に死亡したかが判別するのは困難です。こうした場合に備えて、民法には、「同時死亡の推定」という規定があり、これらの者は同時に死亡したものと推定されます。なお、「同時死亡」は、死亡した数人の死亡原因が「共同の危難」にあることを要件としませんので、例えば父が飛行機事故で死亡し、子が登山中に遭難して死亡した場合で、親子のどちらが先に死亡したのか明らかでない場合にも該当します。同時に死亡したと推定されると、一方が死亡した時点で他方も生存していなかったことになるので、互いの間に相続は起きないことになります。したがって、父親と子が同時に死亡したと推定される場合には父の相続に関しては子は相続人とならないし、また子の相続に関して父は相続しません。しかし、同時死亡が推定される場合にも、代襲相続は認められるので、父の相続について、死亡した子に子(父からすると孫)がいれば、孫が代襲相続することになります。

3)再代襲とは
代襲者である孫もすでに死んでいたという場合は、孫の子すなわち曾孫が代襲します。なお、曾孫以下についても同じ扱いになります。これを再代襲相続といいます。ただし、兄弟姉妹が相続する場合には、再代襲は認められません。したがって、甥や姪の子が代襲することはありません。

⑫相続回復請求権
戸籍上は相続人になっていても、実際には相続人でない者(表見相続人という)が、あたかも相続人であるかのように相続財産を引継いでしまっていることがあります。このような場合に、本当の相続人(真正相続人という)は、表見相続人に相続財産を返せという請求ができます。これを相続回復請求権といいます。
表見相続人とされる者
・相続欠格者にあたる相続人
・被相続人により廃除された者
・虚偽の出生届による戸籍上の子
・無効な養子縁組で戸籍上養子となっている子
・虚偽の認知届で子となっている者

行使の方法
この相続回復請求権で取り戻す方法としては、裁判によるものと、直接相手側に請求する方法がありますが、一般的には裁判による方法が多いようです。また共同相続人がいても、一人で行使することもできます。
・請求権者
相続財産を侵害されている真正相続人とその法定代理人
※親族その他の利害関係人から請求することはできません。
・相手方
相続財産を占有している表見相続人
・消滅時効
相続回復請求権は、本当の相続人またはその法定代理人が、表見相続人が相続権を侵害していることを知ったときから5年で消滅します。
また、これを知らなくても、相続の開始があったときから20年間行使しないと消滅します。
・共同相続人間の相続回復請求
最高裁判例では、共同相続人間においても相続回復請求はありうるとしていますが、侵害している相続人が他の相続人の相続権を侵害していることを知らない場合、又は相続権を侵害していないという合理的理由がある場合にだけ、相続回復請求権の期間制限が適用されるとしています。

⑬相続放棄(民法第938条)
すべての財産を相続しないというもので、相続放棄は、各相続人が、単独でできます。相続放棄は、代襲相続にはなりません。
なお、被相続人のプラス財産(預金など)の範囲内で、マイナス財産(借金)を相続するという限定承認という、いわば、条件付の相続もあります。〔限定承認〕(民法第922条)
 相続後、実は多額の借金があった場合でも限定承認しておけば、相続財産のプラス財産(預金など)の範囲内で支払えばよいこととなります。限定承認は、相続人全員が足並みをそろえて、相続人全員で限定承認しなければならず、各相続人が、単独ではできません。また相続開始を知ったときより、3ヵ月以内に家庭裁判所に届けなければなりません。3ヵ月を過ぎると、単純承認したものとされてしまうので注意が必要です。

(6)相続財産

相続財産には、土地、建物、現預金のみならず、貸金や売掛金などの債権も相続の対象になります。また、このようなプラスの財産に限りません。借金や損害賠償債務といったマイナスの財産も相続されます。ただし、包括承継といっても、次のものは例外です。
1)被相続人の一身に専属したもの
2)位牌、墳墓などの祭祀財産
3)生命保険金、死亡退職金、遺族年金など、契約や法律に基づいて支払われるもの
 (:契約上受取人が誰かにより、相続財産となる場合もあります。)

①一身専属的な権利義務
「被相続人の一身に専属したもの」は相続人に承継されない(民法896条但書)。
具体的には
1)使用貸借上の借主の地位(民法599条)
2)雇用契約上の地位(民法625条)
3)委任契約上の地位(民法653条)
4)扶養請求権(民法881条)
5)恩給受給権(恩給法9条1項)

②祭祀財産
系譜(家系図など)祭具(位牌・仏壇など)及び墳墓の承継については、まず被相続人の指定、指定がない時は慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継し慣習も明らかでない時は家庭裁判所の定めた者がこれを承継する。
これらの承継人は必ずしも相続人に限らない(判例)。

③物権・占有権
被相続人に属した所有権、地上権、永小作権の外、担保物権もその附従性により被担保債権の相続とともに相続されます。
占有権の相続については、民法に規定がありません。
しかし、これを認めないと相続開始から相続人が現実に相続財産を占有するまでの問に時間的な断絶が発生するため、取得時効の成立が困難になるなどの問題が生じます。
そこで、相続人が相続財産を現実に支配するに至ったかどうかを問わず、原則として占有の相続を認めています(通説・判例)。

④借家権
被相続人を権利名義とする土地・建物の賃借権、特に建物賃借権(借家権)も相続性をもつ(学説)。

⑤保証債務
普通の保証債務の相続性は肯定されています(通説・判例)。
これに対し身元保証債務については、身元保証法の制定(昭和8年)の前後を間わず、身元保証人の死亡により消滅し、相続人はこれを承継しません。

⑥生命保険金
1)保険契約者が自らを被保険者=受取人とするか、受取人を全く定めていない場合については、被保険者が保険金請求権を取得し、相続によって相続人に承継されるというのが通説です(保険金請求権は相続財産となります)。⇒相続
2)保険契約者が自らを被保険者とし、自己の相続人の一部ないし、全部を具体的に氏名をあげて受取人としている場合には、被保険者死亡と同時に保険金請求権は、右特定の相続人の固有の財産となります(通説・判例)。⇒原則贈与
※相続財産とされた判例もあります。詳しくは、こちらを参照下さい。

3)受取人を単に「被保険者の相続人」とする保険契約や「保険金受取人の指定のないときも、保険金を被保険者の相続人に支払う」旨の約款がある場合については、特別の事情のない限り、被保険者死亡時の相続人たるべき者個人を受取人として、特に指定した所謂他人のための保険契約と解するのが相当であって、契約の効力発生と同時に相続人の固有の財産となります(通説・判例)。⇒贈与

⑦死亡退職金
死亡退職金の受給権者について法令(公務員の場合)又は労働協会・就業規則によって、民法の相続順位と異なる定め方をされている場合には、死亡退職金受給権は相続財産に属さず、受給権者たる遺族が自己固有の権利として取得するというのが判例です。⇒贈与
但し、受給権者を単に相続人と定めていたり、受給権者を定めていない私企業における死亡退職金については、相続人が相続によって承継するというのが通説です。⇒相続

⑧公営住宅使用権
住宅に困窮定額所得者に対して低廉な家賃で住宅を賃貸することを目的とする公営住宅法の趣旨からも、入居者が死亡した場合その相続人が公営住宅を使用する権利を当然に習得すると解する余地はないというのが、判例の考え方です。