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自筆証書遺言の作り方

自筆証書遺言は費用もかからず、いつでも書けるなど手軽に作成できるため、数多く利用されています。しかし、民法で定められたとおりに作成をしないと、遺言として認められません。実際に、法律で定められた要件に外れたため、無効になってしまうケースが多々あります。従って、せっかく作成した遺言書を無効にしないために、以下のことに気をつけてください。

(1)遺言書を無効にしないためにの要件

①自筆証書遺言は必ず本人が、全文自筆で書きます。

これは、遺言書の偽造を防ぐためです。ほんの一部でも、他人の代筆やパソコンの部分があれば無効となります。なお、用紙や筆記具に制限はありませんが、丈夫な用紙に文字が消えないボールペンなどで書いてください。縦書き横書きいずれでもかまいません。
なお、自筆証書遺言の有効・無効をめぐって争われる場合、自筆かどうかがで争われることが多いです。自筆かどうかがで争われた場合には、主として筆跡鑑定に頼ることになります。

※目録はパソコンで作成できます。
※通帳のコピーを添付できます。

②必ず日付(年月日)を記入します。

この場合の日付も、自分で記入をします。「平成24年7月7日」など日付が客観的に特定できるように書きます。「平成24年7月吉日」という書き方では無効となります。元号でも西暦でもかまいません。また、漢数字でも算用数字でもかまいません。
なお、作成した日付を入れるのは、遺言書が何通かある場合に、どの遺言書がいちばん新しいのかを判断するためです。また、遺言者が満15歳に達しているか、遺言をできる意思能力があったかどうかを判断するためでもあります。

③遺言書には署名・押印をします。

署名をしたのに押印を忘れたというケースは多く見られますので注意しましょう。また、印は認印でもさしつかえありませんが、実印が望ましい。

(2)遺言書の訂正は次の方式によらなければなりません。

大変めんどうな手続になりますので、初めからすべてを新しく書き直すのが無難です。

①加除変更箇所にしるしをつける。

加入なら加入の記号を、削除・訂正なら原文が読めるように訂正箇所を二重線で消す。

②加除変更箇所に正しい文字を記入する。

縦書きの場合は脇に、横書きの場合は上部に記入する。

③加除変更箇所に押印する。(署名押印した印鑑)

※印は署名した場所には押さずに、加除変更した場所に押すだけでよい。

④加除変更箇所の欄外に「この行○字加入、○字削除」のように付記する。

または遺言書の末尾に「○行目の×××を△△△に訂正」と付記してもよい。

⑤付記した箇所に署名する。

以上の点を守れば、費用がかからず簡単に作成できるのが特徴です。
自筆証書遺言の場合、封印をしていなくても無効ではありません。しかし、変造等を避けるために、封筒に入れて封をし、押印に用いた実印で封印をしましょう。表書には遺言書と記載し、裏書に作成日と署名・押印をします。なお、遺族が発見時にうっかり開封しないように、「開封せずに家庭裁判所に提出すること」と書いておきます。
なお、上記の要件を満たしていても、遺言に書かれている内容があいまいな表現ですと文意が不明確となり、後で相続人や受遺者間で紛争する可能性があります。内容が簡単な場合はともかく、そうでない場合には次で説明する公正証書遺言による方法の方が良いでしょう。また、遺言書の保管者や、これを発見した人は、遺言者が亡くなったらすぐに、家庭裁判所に届け出て家庭裁判所で検認のときに開封しなければならないことになっています(民法1004)。勝手に開封することはできません。